自炊した本を、置いたまま読む|ShelfStream · 第04回 / 全9回
見開きは、いつ分けるか — スキャンのときか、読むときか
この記事の要点
- 見開きは左右2ページぶんが1枚の横長画像として保存される。どちらの方式も「分ける」ことは同じで、違うのはいつ分けるかだけ。
- スキャン時の分割は実質的に取り消せない。読むときに分ける方式なら元の横長画像が残り、表示方法をあとから変えられる。
- 決める前に、手持ちの1冊で横長ページが何枚あるか数える。全ページの1割を超えるなら、判断の影響が大きい。
前回は、棚に並ぶ順番を決めるファイル名の付け方を扱いました。名前が揃うと一覧はきれいになりますが、本を開いた中の問題はまだ残っています。
見開きの多い作品をスキャンしていると、出来上がったファイルを開いた最初のページで違和感に気づきます。見せ場の1枚絵が真ん中で切れている。あるいは逆に、単ページが2枚並んで表示される。
スキャナ側で分けるのが正しいのか、ビューアに任せるのが正しいのかが分かりません。しかも分割済みのファイルを見開きに戻す手段はないので、判断を間違えると作り直しになります。そのまま気づかずに読み進めて、見せ場の1枚絵が切れたまま1巻を読み終えることもあります。

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この記事について
この判断には、正解が1つあるわけではありません。読者の条件で決まります。
ただし1つだけ、先に知っておく価値のある事実があります。取り消せるのは片方だけです。この記事では判断軸を3つ示し、自分がどちらを選ぶべきかを決められるようにします。アプリは要りません。
逆に、いま読まなくていい場合
見開き原稿がほとんど無い本だけを扱っているなら、この判断は不要です。 文字中心の書籍や4コマ漫画が中心なら、スキャナの初期設定のままで問題ありません。
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見開きは「1枚の横長画像」としてスキャンされる
まず仕組みから。
見開きのページを開いた状態でスキャンすると、左右2ページぶんが1枚の横長画像として保存されます。縦長のページ画像が並ぶ中に、横長の画像が混ざる形です。
このあと取れる道は2つです。
- スキャンのときに分ける — その横長画像を左右2枚の縦長画像に切って保存する
- 読むときに分ける — 横長のまま保存し、表示するときにビューアが判断する
どちらも「分ける」ことに変わりはありません。違うのはいつ分けるかだけです。
取り消せるのは、片方だけ
ここが判断の中心です。
スキャン時に分けると、元の見開き画像は残りません。 あとから「やっぱり1枚で見たい」と思っても、切った2枚を繋ぎ直すことはできますが、継ぎ目が残ります。実質的に取り消せません。
読むときに分ける方式なら、元データは横長のまま残ります。 表示方法はいつでも切り替えられます。
つまり迷っているなら、読むときに分ける方を選んでおくほうが安全です。後から気が変わっても引き返せます。
ただし、これで話が終わるわけではありません。読むときに分ける方式にも条件があります。
3つの判断軸
| 軸 | スキャン時に分ける | 読むときに分ける |
|---|---|---|
| 元データ | 分割後のファイルしか残らない | 元の見開き画像が残る |
| 複数のビューアで読む | どのビューアでも同じ結果になる | ビューアごとに挙動が変わる |
| 見開きの割合が高い本 | ファイル数が増える | 表示のたびに判定が走る |
スキャン時の分割は取り消せません。 実行する前に、上の3軸で自分の条件を確認してください。特に「複数のビューアで読む」に当てはまる場合は、スキャン時に分けるほうが結果が安定します。
逆に「元データを残したい」が最優先なら、読むときに分ける一択です。
まず、自分の本に見開きが何枚あるか数える
判断軸は分かっても、自分の蔵書にどれだけ見開きがあるかを知らないと決められません。数え方は簡単です。
- 手持ちの1冊を、ファイルを展開できるツール(macOS なら「アーカイブユーティリティ」、Windows なら ZIP の展開)で開く
- ページ画像を一覧表示にして、横長のものだけを目で数える
- 全ページ数に対する割合を出す
数分で終わります。目安として、1割を超えるなら判断の影響が大きい、数枚しかないなら誤検出を個別に直す運用で足ります。
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道具を選ぶときに、ここが効いてくる
「読むときに分ける」を選んだ場合、ビューア側に必要な条件が1つあります。横長の画像を見開きとして検出できることです。
検出できないビューアでは、横長画像が1ページとして縮小表示されます。 縦長の画面に横長の画像を丸ごと収めることになるので、上下に大きな余白ができ、文字は読めない大きさになります。
検出できるビューアは、その1枚を左右2ページに切って、1ページずつ表示します。ファイルの中身は横長の1枚のままで、切るのは表示のときだけです。
私たちが作っている ShelfStream もその一つです。1枚の横長スキャンが、こう分かれます。

1枚の横長スキャンを、読むときに左右へ分けた状態。左が前半、右が1ページ送った後半です。ファイルの中は横長の1枚のままで、切っているのは表示だけです。画面の作品は『Fantastic Comics』第3号(1940年、パブリックドメイン)で、説明のために2ページぶんを1枚に繋いだサンプルです。
元データが横長のまま残っているので、後から表示を変えられます。 端末を横向きにすれば、切らずに見開きのまま1画面で読めます。スキャンのときに切ってしまうと、この選択肢は残りません。
ただし自動検出は万能ではありません。 横長でも見開きではないページ(1枚絵の扉ページなど)を見開きと判定することがあります。誤検出したページは個別に切り替える必要があるので、検出結果を1ページずつ直せるかどうかも確認してください。
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どちらを選んでも、途中で変えない
記事03の命名規則と同じで、方式を途中で変えると過去のファイルとの整合が崩れます。
スキャン時分割から読むとき分割へ変えても、すでに分割したファイルは戻りません。逆向きに変えると、蔵書の中に2つの形式が混在します。
最初に決めて、そのまま続けるのが結局いちばん手間が少なくなります。
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今日やること
手持ちの1冊で、見開きページが何枚あるか数える。
割合が分かれば、3つの判断軸のどれを重視すべきかが決まります。数分で終わり、アプリは要りません。
次回は4つめの分かれ目、置き場所を扱います。端末・NAS・クラウドを、容量だけでなく通信量・可用性・バックアップの4軸で比べます。
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ShelfStream について
ShelfStream は、自炊した漫画・書籍を、クラウドや NAS に置いたまま端末へコピーせずに読む iPhone / iPad 向けのビューアです。ローカルファイルの閲覧、7種類の閲覧スタイル、シリーズ管理・しおり・読書履歴は無料で使え、広告は表示されません。クラウド(iCloud Drive / Google Drive / Dropbox / Box)と NAS(SMB / WebDAV / FTP / SFTP)への接続は Premium(月額100円 / 年額1,000円・7日間の無料トライアル)です。
このシリーズは、自分が所有する本を、自分で読むために、自分で電子化したファイルがすでに手元にあることを前提にしています。著作権法第30条が私的使用目的の複製を認めるのは「その使用する者が複製する」場合に限られ、他人への配布・共有・アップロードはこのシリーズの前提の外です。記事の画面に写っている作品は、著作権者の許諾に基づいて使用しているか、パブリックドメインのものです。NAS の設定やネットワークの安全性を保証するものではないため、自分の環境の設定内容は自分で確認してください。