自炊した本を、置いたまま読む|ShelfStream · 第07回 / 全9回

自炊ビューアを選ぶ3つの条件

執筆 Remosia Co., Ltd 公開 2026-08-02 読了 約6分

この記事の要点

  • 対応形式の一覧では選べない。同じ ZIP でもページ単位で読む実装と全体を取得する実装があり、対応表にはその差が出ない。
  • 判断は3条件だけ ── 蔵書を端末の外に置いているか、形式が ZIP/CBZ に揃っているか、読み方を本ごとに変えたいか。
  • 1つでも No なら乗り換える価値はなく、いま使っているもので足りる。3つとも Yes のときだけ、選ぶべき道具の条件が決まる。

ここまでの5回で、形式・名前・見開き・置き場所・共有方法を決めてきました。最後に残るのが、何で読むかです。

保存形式も置き場所も整えた自炊派が、最後に残ったコピー作業を消そうとしてビューアを探し始めると、どのアプリも「クラウド対応」「NAS対応」と書いてあって違いが読み取れません。

比較記事を見ても対応形式の数が並ぶだけで、自分の環境でどう変わるかを判定できない。結局、試しに入れては消すのを繰り返し、いまのアプリのまま戻ることになります。

三段の分岐路。どの経路にも行き止まりがなく、それぞれ別の棚に着く

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この記事について

対応形式の数で選ぶと外します。軸は3つだけです。

この記事では、その3条件に自分を当てはめて、乗り換えるべきかどうかを決められるようにします。

逆に、いま読まなくていい場合

いま使っているビューアで困っていないなら、乗り換える理由はありません。 この記事は「困っている人が、その困りごとに対して正しい道具を選ぶ」ためのものです。困っていないなら現状維持が最適です。

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「対応」と書いてあっても、中身が違う

まず、比較記事が役に立たない理由から。

対応形式の一覧は、どのアプリもほとんど同じに見えます。ZIP、CBZ、RAR、PDF……。しかし「開ける」と「快適に開ける」は別の話です。

このシリーズの2つめで扱ったとおり、同じ ZIP でも「ページ単位で読み出す」実装と「ファイル全体を取得してから開く」実装があります。対応表にはこの差が出ません。 数十MBのファイルなら気づきませんが、外部に置いた数百MBのファイルでは決定的に違います。

だから軸を変える必要があります。アプリの機能表ではなく、自分の環境の条件から選ぶほうが確実です。

3つの条件

蔵書の置き場所・形式・読み方の3条件で判断する縦型の図

① 蔵書を端末の外に置いているか

NAS・クラウド・外付けのどれかに置いていて、読むたびにコピーが発生しているなら Yes

端末内で完結していて容量にも余裕があるなら No です。この場合、外部接続を売りにするアプリへ乗り換える意味はほとんどありません。いま使っているもので足ります。

② 形式が ZIP/CBZ に揃っているか

このシリーズの2つめで確かめた結果がそのまま使えます。揃っていれば Yes

RAR・7z・PDF が中心なら No です。どのアプリに変えても、これらはファイル全体を取得してから開くことになります。 待ち時間を消したいなら、アプリを変えるより先に形式を揃えるほうが効きます。

③ 読み方を本ごとに変えたいか

日本の漫画(右綴じ)と洋書(左綴じ)と縦読み作品が混在していて、開くたびに設定を変えているなら Yes

読むものが1種類に揃っているなら No です。アプリ全体の設定を一度決めれば済むので、本ごとの保存機能は要りません。

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3つとも Yes の読者にだけ、乗り換える価値があります。 1つでも No なら、その項目で述べたとおり、いまのままで足ります。

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3つとも当てはまる場合

外部に置いていて、ZIP/CBZ に揃っていて、本ごとに読み方を変えたい。この条件なら、外部へ直接つなげて、ページ単位で読み出して、本ごとに表示設定を保存できるビューアが必要です。

私たちが作っている ShelfStream はこの条件に合わせて作っています。3つめの「本ごとに読み方を変える」は、同じライブラリの2冊がこう開くということです。

2台のiPhoneが並び、左は漫画を1ページずつ表示し、右は縦読み作品を上下が切れた連続スクロールで表示している

同じライブラリの2冊を、それぞれ別の読み方で開いた状態。左はページ送りで1ページずつ、右は縦に連ねた作品を途切れないスクロールで表示しています。設定はどちらの本にも別々に保存されるので、開くたびに切り替える必要はありません。左の作品は『ブラックジャックによろしく』(佐藤秀峰)。著作権者の許諾に基づき使用しています。右は『Prize Comics』第1号(1940年、パブリックドメイン)。

選べるのは単ページ・見開き分割・縦めくり・ウェブトゥーン・縦連続スクロールで、綴じ方向(右綴じ・左綴じ)と組み合わせて7種類になります。

クラウド・NAS への接続は Premium(有料)機能です。ローカルファイルの閲覧、7種類の閲覧スタイル、シリーズ管理・しおりは無料で使えます。

合わない場合

適合条件と同じ密度で書きます。次に当てはまるなら、このアプリは選ばないでください。

ライブラリが RAR・7z・PDF 中心の場合 — これらの形式はファイル全体を取得してから表示します。外部に置いた大きいファイルでは待ち時間が出ます。形式を揃えるのが先です。

端末内で完結していて、容量に余裕がある場合 — 主な価値が外部接続にあるので、無料の既存ビューアで足ります。

複数の端末で読んだ位置を引き継ぎたい場合読んだ位置は端末ごとに保存され、端末をまたいで同期しません。 置き場所を共有すれば同じ蔵書は見えますが、「iPhone で読んだ続きを iPad で開く」はできません。これが必須なら、この条件を満たす別のアプリを選んでください。

OneDrive を使っている場合 — 対応していません。iCloud Drive・Google Drive・Dropbox・Box の4つのみです。

無料で外部接続したい場合 — クラウド・NAS 接続は有料です。

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今日やること

3つの条件に、自分を当てはめる。

  • ① 蔵書を端末の外に置いているか
  • ② 形式が ZIP/CBZ に揃っているか
  • ③ 読み方を本ごとに変えたいか

1つでも No があれば、その項目で書いたとおりいまのままで足ります。3つとも Yes なら、選ぶべき道具の条件が決まっています。

対応形式や接続先の一覧は、こちらで確認できます。

次回は、道具を決めた読者の最初の一操作——NAS につないで1冊を開くところを扱います。

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ShelfStream について

ShelfStream は、自炊した漫画・書籍を、クラウドや NAS に置いたまま端末へコピーせずに読む iPhone / iPad 向けのビューアです。ローカルファイルの閲覧、7種類の閲覧スタイル、シリーズ管理・しおり・読書履歴は無料で使え、広告は表示されません。クラウド(iCloud Drive / Google Drive / Dropbox / Box)と NAS(SMB / WebDAV / FTP / SFTP)への接続は Premium(月額100円 / 年額1,000円・7日間の無料トライアル)です。

このシリーズは、自分が所有する本を、自分で読むために、自分で電子化したファイルがすでに手元にあることを前提にしています。著作権法第30条が私的使用目的の複製を認めるのは「その使用する者が複製する」場合に限られ、他人への配布・共有・アップロードはこのシリーズの前提の外です。記事の画面に写っている作品は、著作権者の許諾に基づいて使用しているか、パブリックドメインのものです。NAS の設定やネットワークの安全性を保証するものではないため、自分の環境の設定内容は自分で確認してください。